Oakley Eyewear for Cycling

自転車用のサングラス(アイウェア)について考えてみる。

ロードバイクに乗ってる人がサングラスしているのは格好つけてるわけ(だけ)じゃなくて、目の保護と視認性の確保が目的。
時速40km/hとか50km/hで走ってる時に突然虫が目に飛び込んできたら洒落にならないし、普通に考えてるより高い頻度でそういったことは起きる。

メーカーとしてはzerorh+とかRudy Project、Briko、Oakleyなんかがメジャー。
レンズの素材としてポリカーボネート(Oakleyが得意)やNXT(対戦車ヘリ“アパッチ”の風防で使われてる素材)があって、さらにレンズカラーもたくさんあって、色々と悩ましい。

自分が使っているのはOakleyのRadar Path G30 Vented。
Radarは、Oakleyの自転車用モデルの定番M･Frameの次世代モデルとして2007年にデビューしたシリーズ。

実際の利用感として、フィット感、視界の広さ、歪みのなさ、デザイン・・・と全体的に完成度が高くて気に入っている。
ロードバイクに乗り始めた頃は5000円くらいで替えレンズが3枚ついてくる安物サングラスを使ってたのだけど、やっぱりちゃんとしたものは当たり前にちゃんとしていて、ストレスがなくてよろしい。

当たり前のよさと言えばそうなんだけど、この手の専用品はあるレベルのクオリティーを手にするために興味のない人から「馬鹿じゃないの」と言われかねない投資が必要になることが多々ある。
実際、例の5000円サングラスは-20度の雪山で使用中にちょっと誤って力をかけたところ、あっさりツルがポッキリ折れてしまった。フィッティングもデザインもイマイチだったし、「そ～いうもの」として買ったから特にショックでもなかったけど、中途半端な買い物は結果的に高くつくことを実感。

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(VR28(G30と方向性が似ているレンズ)のRadar)

G30というレンズカラーはもともとゴルフ用に開発されたものらしいのだけど、その名の通り透過率が30%で、いわゆる「サングラス」の中では明るい方に分類される。晴天時でも薄曇りでもオールマイティーに使えて、サイクリング用としても評価の高いレンズ。
うるさいことを言わなければ、この一枚だけで大抵のサイクリングでは困らないんじゃないかと思う。

で、うるさいことをいう自分は、Oakleyの戦略に見事にハマって新しいレンズが欲しくなってきた。
具体的には、光量の少ない早朝や、光が容赦なく飛んでくる晴れた雪山とかでも使えるやつが欲しい。

どういうわけかOakleyのレンズに関する日本語の情報はウェブ上に乏しくて、最近見つけた英語のレビューサイトを頼りに色々と探しているところ。
http://www.o-review.com/lens.asp

日本語のウェブサイトの中では、こちらのサイトの説明がなかなかナイス。
http://www.eaudevie.co.jp/o-lenz.html

とりあえず、雪山はそうしょっちゅう行くわけじゃないので、朝練用としてPersimmonというレンズカラーが気になっている今日この頃。
これは透過率が61%の明るいレンズで、限りなくクリアレンズに近い。
何が気に入ったかって、パーシモンっていう響き。

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実際のところ、Oakleyはポリカ素材のサングラスの特許(素材自体と、コーティング技術)を独占して殿様商売をやった結果として、正統な商品開発という意味で他社に遅れを取っているように思えなくもない。

Oakleyがのんびりあぐらをかいてハッタリ気味なネーミングの技術とか、洗練されたデザインとか知名度で商売をしている間に、他社はノーズやテンプル部分を調整できるようにしたり、調光レンズなんかでチマチマ差別化しようと涙ぐましい努力を繰り返してきた。

確かにOakleyのサングラスは格好いいし、きちんと機能的だし、レンズカラーも豊富だし、アノ有名人も使っているし・・・とかそんな感じで、商業的には大成功を収めている。でも、そろそろOakleyの勢いも落ちてきたのかなぁ、と感じさせるのがレンズ素材。

ポリカに次ぐレンズ素材としてNXTがメインになりつつある今、競合他社からNXT関連の技術から締め出されてしまい、NXT時代についていけてないという話がある。
この手の話はどこの世界にもよくある話で、自転車業界の中でもMavicがアルミリムの切削加工の特許が独占してしまったことによってカーボンリムの開発が進み、Mavic王朝の勢いが落ちつつある・・・、なんて事例もあったりする。

ちなみに、この手の話をビジネスガイな視点から観察・分析した「イノベーションのジレンマ」はなかなかよい本。

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「一度築いた技術的リードにどっしり腰を下ろして目先の利益ばかり追求していると、すぐに痛い目を見ることになりますよ」という、技術で勝負している人間・組織にとって実に啓蒙的なことが書かれている本だと思う。