昨年末から会社の山岳部の事務局という役目を仰せつかっている。
部員数十名のこじんまりとした部なので、運営に伴って発生する事務自体はたいした作業量ではないのだけど、興味のないことに関して驚くべきほどのザルさを露呈してしまう性格(苦しい言い訳)なので、報告書をまとめるペーパーワークやら決まり切ったルーチンワークは大の苦手。誰か適任者が見つかったらマッハで交代しようと目論んでいる今日この頃。
・・・んで、部が所属している都岳連(東京都山岳連盟=ハセツネカップを開催してるとこ)の保険制度が2009年度から変更になったので、それに関わるあれこれをメモ。
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2008年度まで都岳連がとりまとめていた「山岳共済」は非認可共済(だからといって何か怪しいものってわけではない)だったらしく、2008/4から施行された改正保険業法によって2009年度からは扱うことができなくなってしまった、というのが今回の話の経緯。この「山岳共済」の代わりにできたのが日本山岳救助機構(jRO(ジローと読むらしい))で、jROに入会することで、みんなの遭難費用を持ち合いましょうという仕組み。
入会金2,000円は昨年度の「山岳共済」への加入実績があれば無料で、入会時にかかる費用は会費の2,000円のみ。面白いのが掛け金で、これは年度の終わりに実際にかかった遭難時の捜索・救助費用を会員数で割って払う事後分担方式。jROの加入者が遭難・事故に遭った場合、最大250万円まで捜索・救助費用が支払われる。
昨年度までの「山岳共済」の実績だと、掛け金は750円から1,500円程度とのことなので、トータル3,500円くらいに収まりそうな雰囲気。このお買い得感(?)もあってか、自分の所属する山岳部では約90%の部員が加入してくれたので、団体割引が効いて会費も少しだけ安くなった。
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あと、山岳保険で忘れちゃいけないのが障害保険。これは事故で死亡したり、怪我して後遺症が残ったり、他人に怪我させてしまったり・・・といったことに対する保険で、こちらは2008年度から大きな変更はなし。jROでカバーされるのは「遭難時の捜索・救出にかかった費用」(典型的にはヘリコプターの出動費用)だけなので、よりシリアスな状況に陥る可能性が高い登攀をやる人は入っておいたほうが安心。
都岳連で扱っていた障害保険「フルガード」は、2006年から東京海上が引受会社になっていて、山以外の事故に関しても就業中以外の「急激」「偶然」「外来」の事故であれば適用されるらしい(逆に、これら3つに当てはまらない凍死やテント内での窒息事故に関してはカバーされない)。
jROに入会している前提で考えると、死亡・後遺障害に720,000円&賠償責任に1億円出るZプランか、同じく1,000,000円&1億円出るAプランあたりが妥当な選択(保険料はそれぞれ2,050円、2,550円)と言えそう。怪我をした時の通院・入院費をカバーするハイカーorアルパインプランすると一気に保険料が5,000円超えになってしまう。
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この手の保険は使わないに越したことはないのだけど、山は何が起きるか分からない場所なので、お守りという意味でも入っておくに越したことはないと思う。山岳部に所属する理由は数あれど、この手の保険に割安で加入できるということは大きなメリットのうちのひとつ。実際問題として、都岳連には事実上個人加入することはできないし、巷の保険で同等のコースを選んでも割高に高くなってしまう。
不景気の煽りで会社からの補助金も30%減額になったりと色々厳しい現実があったりするのだけど、細々でもよいから山が好きな人が集まって活動していければよいのかなぁ、と考えている。
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ちなみに、昨年度の資料を見る限りだと、国内の山での遭難者(1808人)のうちの80%(1439人)が40歳以上の中高年で、さらに死亡者・行方不明者に限って言えば90%以上が中高年なのだと言うから驚いてしまう。実際に山に行っても思うことだけど、今や日本の山は名実共に中高年のものになりつつありますな。
http://www.npa.go.jp/safetylife/chiiki28/h19_sangakusounan.pdf