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大学の山岳部

今月号の「岳人」に載っていた、東京農業大学の山岳部の夏山縦走の記事が面白かった。

日本の登山史上、明治~昭和初期にかけては、学生山岳部の活躍が目立つ。前穂の北尾根を初めて攻略したのも慶応のパーティーだし、北鎌尾根の初登攀も学習院(早稲田という説もある)だ。まだ娯楽の少なかった当時、社会的なエリート層だった彼らは山に若いエネルギーの発散場所を見つけたのだろう。「バンカラ」なんていう言葉が似合いそうな彼らの活躍が目に浮かぶ。

近年は若者の「山離れ」が進んで、多くの大学の山岳部が休部状態にあると聞くけれど、東京農大の山岳部は今でも古典的な「夏山合宿」を毎年実施しているようだ。「風雪のビヴァーク」で知られる松濤明さんも、ここの山岳部出身とのこと。

現役部員が6名というのが少々寂しいところだけど、このあたりは流行らない企業山岳部の運営に携わってる身としても共感できるところがある。

50キロの荷物を背負って入山し、「剱岳のクライミングベース」である真砂沢にキャンプして剱岳に遊び、剱定着を終了した後は上高地まで縦走する・・・という行動パターンは、「町内の山」の記事で描かれているものと同じ。今では「学生のムラ」ができるほど賑わっていないのかも知れないけれど、あの何とも言えず寂しい場所に、学生さん達の元気な声が響くのはなかなか悪くない。

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真砂沢ロッジのご主人に聞いた話によると、最近の大学の夏合宿では、新入部員の「脱走事件」が発生して、プチ遭難騒ぎに発展することもあるのだそうだ。下界での便利で楽な生活に慣れてしまうと、山の生活の楽しさよりも、辛さばかりが身に応えて、耐えられなくなってしまうのかも知れない。

それにしても、学生時代にやってたことは、大人になってからジワジワと効いてくる。

学生時代に山登りのイロハを学んでおけば、死ぬまでいっぱしの山ヤとして山とつき合っていくことができるし、そういった経験やスキルは、大人になってからどんなにお金や時間を費やしても容易に得ることはできない。

そういう意味で、「学びの場」としての「山岳部」の存在はかけがえのないものだし、もっと大事に守られて然るべきものなんじゃないかなぁ、と思った。

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VL-32のポールを新調

先日の剱行きで紛失したテント(PuroMonteのVL-32)のポールを神保町のグリーンライフスポーツで入手。

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悪天候の中、真砂沢から剱沢を登り返した際に、ザックの脇にくくりつけておいたポールを落としてしまったらしく、翌日剱沢小屋で荷物を整理していて初めてなくしたことに気付いた。小屋の乾燥室でなくした可能性もあったのだけど、隅から隅まで探してなかったので、恐らくまだ剱沢のどこかに落ちてるんじゃないかと思う・・・。

補修品としてのポールはメーカー在庫がなかったようで、わざわざ注文に応じて組んでくれたとのこと。
1.3諭吉也。

3,4年前から愛用しているVL-32は、山岳用ドーム型テントの定番モデル。最近になって新型のVL-33に代替わりしたようだけど、2-3人用なのに単独行でも使えてしまうくらい軽いのがウリ。テントの底が薄いのが心配なので、普通の山行ではグラウンド・シートを持っていって下に敷いているのだけど、、それでもダブルウォールのテントとしては破格の軽さ。

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ニューモデルのVL-33は、VL-32からさらに150gもの軽量化を達成している。テントの寸法は同じなので、VL-33のポールが使い回せるのかと思いきや、部分的に径を変えるような処理を施しているらしく、流用は推奨できないとのこと。あの手この手で軽量化をしているのはスゴイとしか言いようがない。

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比較的雨の少ない欧米圏では、シングルウォールのものや変則的な形状をしたテントがメインストリームになっているようだけど、雨の多い日本の山では日本のメーカーのスタンダートなテントが一番。このあたりはレインウェアーに関しても言えること。夏に行ったバルセロナでスポーツ用品店を覗いた限りだと、ワンタッチで設営できるシンプルなテントの人気が高いようで、様々なモデルが売られていた。

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今年は夏休みに山に行かなかったので、その代わりとして9月の連休をフルに使って「穂高の池巡り」に挑戦してみる予定。あえてピークを目指さず、バリエーションルートを多用して「静かな」北アルプスを楽しむ計画。もちろん復活したVL-32のお世話になる予定だ。

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