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Why Your DNA Isn't Your Destiny

使い道に困ってたタイエアーのマイレージで米TIME誌を購読しはじめたのだけど、早速面白い記事を発見したのでメモ。

"Epigenetic"(エピジェネティック)と呼ばれる最近ホットになりつつある生物学の研究分野に関する記事なのだけど、なかなか刺激的な内容で楽しく読めた。題名は"Why Your DNA Isn't Your Destiny"。ウェブを調べたら、今どき普通に全文がウェブ上で読めるのね・・・。

エピジェネティックとは、一言で言ってしまうと「親から子へと受け継がれる因子は遺伝子だけではなくて、DNAとタンパク質の複合体であるクロマチンへの後天的な影響もひっくるめて伝わりますよ」という学問。

古典的なダーウィニズム的発想だと「俺が生まれた時点で俺の遺伝子は決まってる」=「俺が生まれてから何やってきたかは俺の子供には一切伝わらない」ってことになるのだけど、エピジェネティックではそうはならない。例えば「ストレスや飲酒やバカ食いなどの健康リスクを犯した親から生まれた子供は、親と同様の健康リスクにさらされる可能性が高い」となる。

なぜこうなるかというと、遺伝子の中に書かれているコードをマスキングするためのエピジェネティック情報が遺伝するからである、ということらしい。ここでいうエピジェネティック情報ってのは、体内の特定の部位で適切な細胞を作る(たんぱく質を作るべき部位で赤血球が作られては困るので、関係ない部分はマスキングする)ためのものなのだけど、この部分は後天的な影響を受けやすく、細胞分裂したあとも引き継がれるのだそう。従来は「動物ではエピジェネティック情報は子供に受け継がれずリセットされる」とされてきたらしいのだけど、最近になって受け継がれることが分かってきたとのこと。

TIME誌に紹介されていた本"The Genius in All of Us"は、最新のエピジェネティック研究を取り上げた本らしくって、なかなか面白そう。「生物はDNAの乗り物である」と看破したリチャード・ドーキンスの「利己的な遺伝子」が一大センセーションを巻き起こしたのと同じように、今後はエピジェネティックがあちこちで取り上げられることになりそうです。

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