PERSEPOLIS / ONCE

ロンドンに住む姉が送ってくれたDVDを鑑賞。
ポンドが安かったので、セール品のデマルキのサイクルウェアーとムーンのクライミングウェアーを大量に注文して、姉の家経由でリダイレクトしてもらったのだった。
サンキュー!>お姉さま

ペルセポリスペルセポリス
キアラ・マストロヤンニ, カトリーヌ・ドヌーヴ, サイモン・アブカリアン

ポニーキャニオン 2008-10-22
売り上げランキング : 2550
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こ・れ・は・・・面白い!!
グラフィック・ノベル(漫画)が原作なのだけど、非常にオリジナルな映像世界。原作者であり監督でもあるマルジャン・サトラピさんの自伝的な内容で、イランのテヘランに住む少女(マルジ)が主人公。裕福&リベラルな家風の中で育った少女が革命と戦争を経験しつつ、大人になっていく姿が描かれている。

「自分に対して正直であれ」という信念を与えてくれるおばあちゃんがとても素敵。マルジの好奇心と反抗心の強さはこのおばあちゃん譲りで、「PUNK IS NOT DED」と書かれたシャツを着てアイアン・メイデンを聞くくだりなんて最高にイカシてる。

イランの現代史をザラッと紹介してくれるので、そのあたりに心得のない人でもマルジとその家族、そして多くのイラン人の人たちが置かれていた状況がよく分かるように作られている。
「傑作!」っていうわけじゃないんだけど、小粒ながらもピリリと辛い面白さをもった作品だと思う。

**

ONCE ダブリンの街角で デラックス版ONCE ダブリンの街角で デラックス版
グレン・ハンサード, マルケタ・イルグロヴァ, ジョン・カーニー

ジェネオン エンタテインメント 2008-05-23
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今年見てよかった映画トップ10入り決定。
シンプルで短い作品だけど、ほとんど全編を通じて流れてくる音楽が甘くて切なくて酸っぱくてほろ苦くて、心にガンガン響いてくる。

主演はどちらかというとミュージシャンな2人組で、演技という意味では素人のはずなのに、なかなかどうして締まった演技を見せている。

映画の雰囲気はBilly Elliot(リトル・ダンサー)なんかに通じるものがある。
寒々しくて、いかにも天気も景気も悪そうなダブリンの街角で、普段着な感じの男女が音楽を通じて繋がって、色んなことを話したり、経験したりするうちに自分達が進むべき道を見つけていく。結局この2人の関係は「同志」とでも言うべきものとして終わるのだけど、こういう距離感ってなかなか甘酸っぱくていいよなぁと思う。

女の子のほうのキャラがとてもナイスで、パッと見はキュートであどけない感じなのに、結構しっかりしていたりするあたりが面白い。
地味だけど、とてもよい映画。
こういう映画に出会うことができるから、映画好きはやめられないのだ。

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楢山節考

楢山節考楢山節考
緒形拳

東映ビデオ 2007-06-01
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久しぶりに強い衝撃を受けた映画。
原作は深沢七郎さんの小説。

信州の山奥の寒村。
ここでは「お山参り」と呼ばれる風習があって、70になった老人はみな山に行かねばならぬという。今年69になる老婆、おりんは立派に山に行くことを切望している。

**

かやの木 ギンやん ひきずり女
アネさんかぶりで ネズミっ子抱いた

塩屋のおとりさん 運がよい
山へ行く日にゃ 雪が降る

楢山まつりが 三度来りゃる
栗の種から 花が咲く

山が焼けるぞ 枯木ゃ茂る
行かざなるまい しょこしょって

**

この村では長男以外が結婚することは許されておらず、「やっこ」と呼ばれる働き手として一生を過ごす。限られたリソースの中で、人が生きていくための必然的なルール。
タイでは長男以外が坊さん(あるいはニューハーフ)になることが多いし、チベットには長男以外が坊さんになったり、兄弟間で1人の嫁を共有する習わしがあったというけれど、それと似たような感じ。

共同体が無事に生きていくことが何よりも大切で、あらゆるリスクファクターは村人全員の合意の元で取り除かれる。こういった、一種のエコシステムとでも言うべき仕組みが見事に機能している様が淡々と描かれる。

露骨な性と死の表現(ヘビが苦手な人は要注意!)や、必要以上にコミカルな部分もあったりして好き嫌いが別れるかもしれないけれど、この映画の根底に流れる哲学がスポイルされるほどではない。

今の時代にこういう作品を見ると、「恥ずかしい」みたいな感想を持つ人がいるんじゃないかなぁと思ったりする。でも、この映画で今村昌平さんが描きたかったのは、「恥ずかしいもの」でも「誇らしいもの」でも何でもなくて、「人が生きる営み」そのものだったのではないだろうか。

無常観、やるせなさ、人の罪深さ、人の優しさ・・・。
本当にたくさんのものが詰まった映画。

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山中貞雄さんの映画

映画「丹下左膳餘話・百萬兩の壺」を見る。

丹下左膳餘話 百萬両の壺丹下左膳餘話 百萬両の壺
大河内傳次郎, 喜代三, 沢村国太郎, 山本礼三郎, 山中貞雄

Cosmo Contents 2007-11-20
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1935年(昭和10年!)作とは到底思えない、極上のエンターテイメント映画だ。
小気味のよいテンポで物語が進み、軽妙なギャグセンスがいたるところで爆発する。
大河内伝次郎さんのしゃべり方は独特で、ぶっきらぼうだけど憎めないキャラが実に魅力的。
お藤役の喜代三さんとのやりとりが面白いのなんのって!
屑屋コンビのトボけた演技も最高。

「古い映画は嫌い」とか「日本映画は苦手」なんて言っている人に、是非見てもらいたい作品だと思う。
80年近く前の作品だから、現行の著作権法の保護期間(70年間)さえも悠々と飛び越えて、実にリーズナブルな価格でDVDが出ている。

**

監督の山中貞雄さんは、戦前の映画界で活躍した人。
日中戦争に召集され、戦地でかかった病をこじらせて28歳で帰らぬ人となった。
彼の作品で現存しているのは3作のみで、それ以外は全て焼失してしまったのだそうだ。

無声映画でのキャリアを積んでいるだけあって、ミニマムな構成でマキシマムな効果を得る表現が実にうまい。
何も言わなくても、自ずと言いたいことが伝わってくるような感じ。
こういう表現って、形を変えて現代の日本のアニメにも生きているような気がする。

山中貞雄さんの映画の面白さは、間合いの取り方のうまさにあるんじゃないかと思う。
よく日本映画が苦手という人が「日本人の劇は会話はわざとらしいから駄目」なんて言うけれど(自分も前はそう思ってた)、山中貞雄さんの作品に限ってそんなことはないと断言できる。
日本人の会話には、こういう絶妙な間合いが是非とも必要なのだ。

山中貞雄さんとその作品に関する情報は、
山中貞雄を見よう

「人情紙風船」
が詳しいので、リンクを貼っておきます。

**

人情紙風船人情紙風船
中村翫右衛門, 河原崎長十郎, 助高屋助蔵, 市川笑太郎, 山中貞雄

Cosmo Contents 2007-11-20
売り上げランキング : 8713
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山中貞雄監督の遺作となった「人情紙風船」もまた素晴らしい映画。
江戸の貧乏長屋での人間模様を描いた時代劇。
時代劇だから、チャンバラ的なシーンを想像する人が多いのだろうけど、この作品にはそういうシーンが一切なく、ただただ重くて、暗くて、寂しくて、救いがない。

それにしても、この「救いのなさ」は一体なんなんだろう。
色んな人がいて、色んな人生があって、それぞれの立場があって、それぞれが日々何かを得たり、失ったりして生きている・・・なんてことをしみじみと感じさせてくれる作品だと思う。
「今も昔も、人間の内面はチットモ変わっていないんだよ」なんていう、監督の声が聞こえたような気がした。

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BBC 4 "The Reunion" on Sunday(Withnail and I)

こよなく愛するイギリス映画"Withnail and I"

一時期は毎週のように見たり、ウェブページを作ってみたり、字幕を翻訳してみたり、友達に無理やり見せたり・・・とかまぁ、狂ったようにハマっていた。
いわゆるカルト映画で、万人におすすめできる作品ではないけれど、この映画が持っているビターでスウィートな雰囲気は本当に好きで、これから死ぬまで何度も笑ったりホロリとしたりしながら付き合っていくことになるのだと思う。
自分の中で、絶対的に一番好きな映画。

**

さて、BBC Radio 4にて、主演の三人(リチャード・E・グラント、ポール・マクガン、ラルフ・ブラウン)と脚本・監督のブルース・ロビンソンを招いた番組が放映されるらしい(モンティー役のリチャード・グリフィスのインタビュー付き)。

放送時間は、日本時間で日曜日(5/4)の19:15-20:00。
素晴らしすぎることに、BBCはウェブからのライブストリーミングもやっている上に、放送した番組を1-2週間くらいアーカイブから視聴することができる。今週末は山登り(北アルプス:燕~常念~蝶の縦走)に行っているので、東京に帰ってからのんびり聞いてみることにしよう。

製作・公開から20年経った今、関係者が集まって映画について語ってくれる貴重な機会だと思う。
ロンドンに住む姉経由で、姉の夫の妹の婚約者から情報をもらった。
こ~いう情報は日本に住んでるとなかなか入りにくいから、感謝、感謝である。

ここ最近見ていなかったから、誰か誘って一緒に見ようかな。
中途半端な日本語字幕も、いい加減なんとかしたいところだ。

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勝手に☆自転車名画館

トップ・ランナートップ・ランナー
ジョニー・リー・ミラー ビリー・ボイド ブライアン・コックス

20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 2008-06-06
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以前紹介した、グレアム・オブリーの自伝映画"Flying Scotsman"。
日本では劇場公開なしでDVDになるらしい(6/6発売)。
自転車馬鹿には最高の作品なので、まだ未見の人は是非!
(それにしても、「トップ・ランナー」って邦題はどうかと思うゾ>FOX)

・・・そんなわけで、突然ですが、自転車関係で面白い映画を紹介してみることにしましょう。
題して「勝手に☆自転車名画館」。

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ベルヴィル・ランデブー
ベルヴィル・ランデブーシルヴァン・ショメ

おすすめ平均
starsこれぞフレンチ

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一本目は軽い変化球。
「ベルヴィル・ランデブー」というフランスのアニメーション作品。

シュールな絵柄と哲学的な表現、洒落た音楽に踊る婆さん。
破壊力抜群のセンスも素晴らしいのだけど、自転車好きにとって見逃せないのが、1960年代頃のノスタルジックな雰囲気をもったツール・ド・フランスがフィーチャーされていること。

映画の始まりから終わりまで、主人公のシャンピオンは自転車をこぎ続ける。そして、おばあちゃんまでも、足漕ぎ式の貸しボートで海を渡る。

言葉に表せないよい味が出ているアニメーション作品なので、自転車好きには是非見てほしいです。台詞がないので、海外盤をゲットしても問題なし。

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OVERCOMING -ツール・ド・フランス 激闘の真実-OVERCOMING -ツール・ド・フランス 激闘の真実-
ビャルネ・リース イヴァン・バッソ カルロス・サストレ

ポニーキャニオン 2006-10-27
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二本目は比較的ストレートに。
「Overcoming ツール・ド・フランス激闘の真実」。

今年限りで解散してしまうチームCSCが2004年のツール・ド・フランスで闘っていく姿に迫ったドキュメンタリー。全然エンターテイメント的要素を押し出していなくって、白熱するレースシーンもほとんどない。・・・にも関わらず、この映画は見る人の視線と心を見事に奪い去ってくれる。

1996年にインドゥラインのツール6連覇を阻止したビャルヌ・リース監督の心の動き、そして当時のエースであったイヴァン・バッソやその他のチームメイトたちの葛藤と奮闘。
仲間のサポートによって、ツール6連覇を狙うランスを相手に一瞬だけ勝機を見出すバッソなのだけれど、個人TTでのランスの圧倒的な走りによって、その勝機も潰えてしまう。

自転車競技というストイックな世界の中で生きているチームメンバー一人一人の人間的な表情がクローズアップされていて、自転車競技のことが扱われているのにも関わらず、それ以外の様々なことについても考えさせられてしまう。
日本ではウケにくい作品だと思うけど、これは好きな映画のうちのひとつ。

**

最後の三本目・・・と思いましたが、「これは!」ってのがなかったのでまたの機会に!

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いのちの食べかた

いのちの食べかた」という映画を青山のイメージフォーラムで見た。

Our_daily_bread

久しぶりに映像に圧倒される体験をしたなぁ、というのが素直な感想。
BGMもなければナレーションもないドキュメンタリー作品なのだけれど、ここまでの存在感を持った映画はそうあったもんじゃない。

エンジニア的視点から見て、よくぞあそこまでオートメ化したなぁ、と心の底から思えるほどに効率化&洗練された現代の食品製造工場の姿が淡々と、ひたすら淡々と描かれる。

もういちいちスゲェ、とか驚いてられないほどスゴイので、興味のある人は是非見に行ってみることをオススメします。

**

よい意味で、映画を見ながら、色んなことをボンヤリ考えさせてくれる、隙のある映画なので、上映中に色んな考えが頭をかけめぐって、なかなか面白かった。

Baraka (Ws)Baraka (Ws)
Baraka

Mpi Home Video 2001-09-25
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まず、似たタイプの作品として映画「バラカ」を思い浮かべた。
地球と人間の「今」みたいな映像を集めて出来上がった作品で、エンターテメント的な味付けがされているので割と普通に楽しめる映像。

人間は何を食べてきたか 8巻セット人間は何を食べてきたか 8巻セット
高畑勲 宮崎駿 桜井洋子

ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント 2003-02-21
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そして、NHKスペシャル「人間は何を食べてきたか」。
これは、高畑勲さんと宮崎駿さんの熱意によってDVDとしてパッケージングされた経緯がある映像なのだけれど、なかなかマジメに世界中の食文化を追っかけた作品なので、なかなか見応えがある。

リバーズ・エッジ (Wonderland comics)リバーズ・エッジ (Wonderland comics)
岡崎 京子

宝島社 2000-01
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そして何よりも、岡崎京子さんの漫画「リバーズエッジ」の主人公ハルナの独白↓。

“でも スーパー・マーケットに並ぶ スライスされパック詰めされた肉達
あれらは本当に生きていて あのTVで見たことのある 牛や豚やニワトリの形をしていたんだろうか?
本当は学校の近くにある あの煙たなびく工場の中で 作られたものなんじゃないだろうか?
その方がいい その方がほっとする

あたしは「自然」なんか嫌いだ”

本当に、冗談じゃなく「スライスされパック詰めされた肉達」が工場で作られる時代が来るとは、流石の岡崎京子さんも予想していなかったに違いない。

**

イメージフォーラムで映画を見たのは初めてだったけれど、席数の割にスクリーンも大きく、椅子も座り心地がよくて、なかなかナイスな映画館だった。

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"The Flying Scotsman"の字幕翻訳

以前取り上げた自転車馬鹿必見のイギリス映画、"The Flying Scotsman" の字幕を翻訳してみた。

Snapshot20080111064000

映画の字幕翻訳は、大好きな映画"Withnail and I"をより深く知るため&身近な友達に見せるためにSubtitle Workshopというソフトを使って試行錯誤しながら完成させたのが始まり。今になって改めて見ると、相当クオリティーが低い仕事なのでいつか手直ししないと・・・と思い続けて、はや3年という感じ。

場面場面ごとに異なる限られた文字数の中で、最大限の表現をしなければいけない字幕翻訳は、映画が持っている雰囲気を自分の中で咀嚼して吐き出すことを要求されるので、独特の難しさがあると同時に、結構楽しい作業だと思う(やり続けてると飽きるけど)。
優等生的な作業というよりは、フィーリングとバランス感覚が試される作業だ。

久しぶりの作業だったけど、週末に集中してやったせいか賞味二日で一通り完成。約1000行分だけど、自転車で走ってるシーンなんかでは単調な掛け声が続くので、比較的簡単だった。

そんなわけで、知り合いの自転車馬鹿の皆様&映画好きな人、興味ある人は気軽に声をかけてください。
日本語字幕入りオリジナルDVDの貸し出し、あるいは我が家のホームシアターでの上演会など、色々企画しますよ~。

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Withnail and I - 20th Anniversary Edition DVD

大好きな映画、"Withnail and I"の20周年記念DVDをロンドンに住む姉が送ってくれた。

Pc314669

DVD 2枚と CD 1枚、それにブックレットという内容で、

Disc1 (DVD)
- 映画本編
-> Paul MacGann と Ralph Brown によるコメンタリー
-> Bruce Robinson によるコメンタリー

Disc2 (DVD)
- Postcards From Penrith (Penrith のロケ地を訪れた映像)
- The Drinking Game (一部では有名なゲームに関する考察)
- Bruce Robinson のインタビュー
- Ralph Steadman による撮影風景の画像集
- Swear-A-Thon (映画から"Swear Words"を吐いてるシーンを切り出した映像)
- Withnail & Us (Criterion Collection の DVD にも収録されてるドキュメンタリー)
- Original Trailer (Criterion Collection の DVD にも収録されてるトレイラー)

Disc3 (CD)
- サントラ(David Dandasによる音源のみ)

・・・が収録されている。

特に興味深かったのは Bruce Robinson のインタビュー。監督として、原作者としての彼の率直な感想が述べられていて、なかなか面白かった。それにしても・・・、やはり Bruce Robinson という人は真面目かつ正直で、世渡りが下手な人なんだなぁ、という印象を受けた。ナイス・頑固オヤジ。

CDはサントラのCDなのだけれど、 David Dandas による映画のためだけに録音された音源のみの収録となっている。オリジナルの Withnail and I のサントラCDは、Jimi Hendrix の楽曲に関するライセンシング契約に問題があったらしく、今では絶版になっているようだ。

ペラペラのブックレットには、最近出た本"Withnail and I - Everything you ever wanted to know but were too drunk to ask"を書いた Thomas Hewitt-McManus による20のツボをついたWithnail and Iトリビアがまとめられている。

全面的に"Withnail and I"に対する愛が感じられるDVDだと感じた。
映像の品質という意味では、 criterion collection のほうが一枚上手で、冒頭の暗いシーンなんかの見え方が随分違うように感じられたけど、ファンなら手元に置いてニヤニヤするのにもってこいだと思う。

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Withnail and I (ウィズネイルと僕) 関連書籍

わが心のイギリス映画Withnail and I(ウィズネイルと僕)の関連書籍が本棚に溜まってきたので、オススメ順で紹介してみます。

Pc013667

最近は Amazon.co.jp の洋書コーナーがなかなか充実しているので、大半の本は普通に手に入る。よい時代になったもんだ(=興味があったら是非買って下さい)。

**


Title: Withnail and I (Bloomsbury Film Classics)
Author: Bruce Robinson
Price: ¥ 1,675
Publisher: Bloomsbury Publishing PLC
Published Date: 1998/04/16

多くの人がまず手に取るであろう脚本。
映画を知ってる人ならクスクスゲラゲラと笑いながら読み進めるし、映画では省かれてしまったシーンや、ロビンソン監督本人の日記の抜粋などが含まれているので、Witnnail and Iのファンは迷わずゲットすべし。


Title: Withnail & I: Everything You Ever Wanted to Know but Were Too Drunk to Ask
Author: Thomas Hewitt-mcmanus
Price: ¥ 1,222
Publisher: Lulu.Com
Published Date: 2006/07/30

薄い本だけど、Withnail and I への愛が溢れた素晴らしい本。
AtoZ形式で、映画に関して思いつく限りのあれやこれやをマニアックにフォローしている。第三者による解説本としては、これが一番おすすめ。


Title: Smoking in Bed: Conversations With Bruce Robinson
Author: Alistair Owen
Price: ¥ 1,915
Publisher: Bloomsbury Pub Ltd
Published Date: 2001/10

ロビンソン監督のインタビュー本。
彼の子供時代から若かりし頃の役者時代、作家時代、監督時代・・・という分かりやすい構成になっていて、非常に読みやすい。この監督なくしてこの作品はないわけで、映画の真髄に迫るという意味で、この本の価値は高いと思う。


Title: Withnail & I (Bfi Modern Classics)
Author: Kevin Jackson
Price: ¥ 1,734
Publisher: British Film Inst
Published Date: 2004/07

Kevin Jackson さんによる解説本。割とクールな語り口で淡々と映画を解説している。悪くない本だけど、個人的には "Everything You Ever Wanted To Know"のほうがオススメ。


Title: Journey's End (Penguin Modern Classics)
Author: R.C. Sherriff
Price: ¥ 2,145
Publisher: Penguin Books Ltd
Published Date: 2000/10/26

映画の中で、"僕"が Withnail と別れてマンチェスターで演技することになっている演劇。第一次大戦の凄惨な塹壕戦を闘うイギリス兵達の心の動きを描いた作品。とてもイギリス的な物語。


Title: With Nails
Author: Richard E. Grant
Price: ¥ 1,907
Publisher: Picador
Published Date: 1997/04/04

Withnail 役のRichard E. Grant の日記。
彼が携わってきた映画の撮影風景や、彼がどういう気持ちで仕事をもらい、演技をしたかがユーモア溢れる文章で綴られている。


Title: The Peculiar Memories of Thomas Penman
Author: Bruce Robinson
Price: ¥ 3,178
Publisher: Overlook Pr
Published Date: 1999/01

ロビンソン監督をして「"Withnail and I"が80%の自伝だとすると"Penman"は90%の自伝」と言わしめている自伝的小説。まだ途中までしか読んでないけど、シャイで内向的なロビンソン監督の少年時代を描いたものらしい。

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King Lines

世界有数のトップクライマー、クリス・シャーマ(Chris Sharma)のクライミングビデオ。日本語版のDVDはこちら

彼の最新プロジェクトの成果が洗練されたカメラワークで収められており、見ているこっちまで緊張して手に汗をかいてしまうようなシビれるクライミングの一端に触れることができる。

なんといっても、スペインのマジョルカ島のアーチを攻略していく映像が圧倒的に凄い。ベネズエラのジャングルの奥にあるボルダリング天国やギリシャの岸壁、Zionのクラシックルートや、35フィートの天国が近いボルダリングなどなど、強烈なインパクトを与えるクライミングもうまく散りばめられていて、刺激的な1時間はあっという間に過ぎる。
素晴らしい自然の中で、超絶テクニックが要求される壁をパワフルかつスピーディーに登っていく映像は、クライマーならずともついつい魅入ってしまう何かを持っている。グレードとかそういうの関係なしに、人間の肉体が持っている潜在的な能力を目の当たりにすることができる、実にエンターテイニングな作品だと思う。

フリー/ボルダリングには疎いので知らなかったのだけれど、最近のクライミング業界にはDWS(Deep Water Solo)というジャンルがあるらしい。これは、フォールすると深い海に落ちるため、確保しないで思う存分登ることに集中できるソロクライミングのこと。マジョルカ島のアーチではこのやり方でガンガン登って、ガンガン落ちている。

彼が次の目標としてチャレンジしているという、カリフォルニアのClark Mountainの岩はいかにも悪い。「被りに被った岩がひたすら延々と続く」という悪夢のようなルートは、いかなクリスとはいえまだまだ攻略に時間がかかりそうだ。それでも、きっと彼はこのプロジェクトを成功させるだろうし、彼が失敗に終わったとしても他の誰かが挑戦していつかは成功させるのだろう。
クライミングに限らず、人が自然相手や新しい分野の中で「そりゃ無理だろ~」と思われていたようなものをゆっくりでも征服していく時の、ねばり強さや忍耐力にはいつも驚かされる。

世界中を旅して、面白い壁を見つけては時間をかけて征服して・・・ということを繰り返す彼のクライミング・ライフに終了点はないのだ。

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