Garmont Tower GTX その後

今年になって新調したGarmont Tower GTXがようやく足に馴染んできた。
この靴を履いて行動した累計日数は10日間くらい。

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ちゃんとしたアイゼンが装着できる靴としては軽く、ガチガチソールの割には歩きやすく、そこそこの防水性を持ち、デザインがよい・・・というのがこの靴を選んだ理由だけど、今さらになって考えるとちょっと失敗だったかなぁ、と反省。

一言で言ってしまうと、この靴は「アイゼンつけてナンボ」の靴なんだよな~。

先日の穂高岳の池巡りでは、自分以外の二人がいわゆる軽登山靴だったのだけど、やはり夏山では軽登山靴がよいなぁということを痛感。何がよいって、ソールが馬鹿みたいに硬くないので、足裏感覚を頼りに歩くことができること。硬いソールの靴の場合、特に大きな岩が転がってるような場所では、ガチガチソールのグリップ感を頼りに足を置いていかないといけないので、いちいち気を使わないといけない。

昔風の考え方だと「それでもやっぱり重登山靴(=慣れろ)」ってことになるのだろうけど、軽登山靴やアプローチシューズの性能が飛躍的に上がった今となっては、夏山での重登山靴のメリットってほとんどない気がしてしまう・・・。夏でもロック&スノーな海外の山ならまだしも、日本では夏山でちゃんとしたアイゼンをつけることは稀なので、ガチガチソールが生きるシーンもほとんどない。

冬季は冬季で、重くてもよいから防寒性の高い靴が欲しくなるし、結論から言ってしまうと「Tower GTXは使いどころが難しい」ってことになってしまうようだ。無雪期の縦走から冬季~残雪期まで、一足で済ませてしまおうという貧乏根性が裏目に出てしまいまった形。

まぁ、デザインは気に入ってるし、冬~春山でも使えるポテンシャルはあるはずなので、もうしばらく使ってみることにしよう。アナログの世界でもデジタルの世界でも、「全てのコンディションに対応するものを準備しよう」という試みは、大概にして失敗することが多いようだ。

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黒部の山賊 - 伊藤正一

読みたかった本なので、ゴニョゴニョして初版を入手。

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戦後の混乱した時代に、北アルプス最奥の小屋を買い取った著者が小屋に住み着いていた山賊達(と下界で噂されていた人物達)と一緒に過ごした日々を記した本。山賊達の正体は、山に生活の場を持っていた猟師達。中でもその長とでも言うべき遠山富士弥は、「黒部の主」と言われた遠山品衛門(「上高地の嘉門次」みたいなもんですな)の息子で、旧日電歩道は彼と兄とが人夫を指揮して作ったものなのだそうだ。

いわゆる「猟師」と呼ばれる人たちの最後の世代に属する人々の様子や、戦後のものがない時代に山登りをやっていた人たちの姿、そしてクロヨンの開発が始まる前の、むき出しで険しい自然が残った黒部の姿が描かれている貴重な本。何よりも、著者の黒部への愛が伝わってくるのが素敵。

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2年前に著者の伊藤さんが管理している三俣小屋で半分くらいまで読んで、1年後に再訪した時に読み進めようと思ったらもう置いてなかったのだった・・・。絶版で入手困難なのかと思いきや、小屋のウェブページor小屋で普通に売っているみたい。

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(鷲羽岳と三俣小屋)

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(水晶岳から見るワリモ岳と鷲羽岳)

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(黒部減流域のクルマユリ)

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大学の山岳部

今月号の「岳人」に載っていた、東京農業大学の山岳部の夏山縦走の記事が面白かった。

日本の登山史上、明治~昭和初期にかけては、学生山岳部の活躍が目立つ。前穂の北尾根を初めて攻略したのも慶応のパーティーだし、北鎌尾根の初登攀も学習院(早稲田という説もある)だ。まだ娯楽の少なかった当時、社会的なエリート層だった彼らは山に若いエネルギーの発散場所を見つけたのだろう。「バンカラ」なんていう言葉が似合いそうな彼らの活躍が目に浮かぶ。

近年は若者の「山離れ」が進んで、多くの大学の山岳部が休部状態にあると聞くけれど、東京農大の山岳部は今でも古典的な「夏山合宿」を毎年実施しているようだ。「風雪のビヴァーク」で知られる松濤明さんも、ここの山岳部出身とのこと。

現役部員が6名というのが少々寂しいところだけど、このあたりは流行らない企業山岳部の運営に携わってる身としても共感できるところがある。

50キロの荷物を背負って入山し、「剱岳のクライミングベース」である真砂沢にキャンプして剱岳に遊び、剱定着を終了した後は上高地まで縦走する・・・という行動パターンは、「町内の山」の記事で描かれているものと同じ。今では「学生のムラ」ができるほど賑わっていないのかも知れないけれど、あの何とも言えず寂しい場所に、学生さん達の元気な声が響くのはなかなか悪くない。

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真砂沢ロッジのご主人に聞いた話によると、最近の大学の夏合宿では、新入部員の「脱走事件」が発生して、プチ遭難騒ぎに発展することもあるのだそうだ。下界での便利で楽な生活に慣れてしまうと、山の生活の楽しさよりも、辛さばかりが身に応えて、耐えられなくなってしまうのかも知れない。

それにしても、学生時代にやってたことは、大人になってからジワジワと効いてくる。

学生時代に山登りのイロハを学んでおけば、死ぬまでいっぱしの山ヤとして山とつき合っていくことができるし、そういった経験やスキルは、大人になってからどんなにお金や時間を費やしても容易に得ることはできない。

そういう意味で、「学びの場」としての「山岳部」の存在はかけがえのないものだし、もっと大事に守られて然るべきものなんじゃないかなぁ、と思った。

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VL-32のポールを新調

先日の剱行きで紛失したテント(PuroMonteのVL-32)のポールを神保町のグリーンライフスポーツで入手。

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悪天候の中、真砂沢から剱沢を登り返した際に、ザックの脇にくくりつけておいたポールを落としてしまったらしく、翌日剱沢小屋で荷物を整理していて初めてなくしたことに気付いた。小屋の乾燥室でなくした可能性もあったのだけど、隅から隅まで探してなかったので、恐らくまだ剱沢のどこかに落ちてるんじゃないかと思う・・・。

補修品としてのポールはメーカー在庫がなかったようで、わざわざ注文に応じて組んでくれたとのこと。
1.3諭吉也。

3,4年前から愛用しているVL-32は、山岳用ドーム型テントの定番モデル。最近になって新型のVL-33に代替わりしたようだけど、2-3人用なのに単独行でも使えてしまうくらい軽いのがウリ。テントの底が薄いのが心配なので、普通の山行ではグラウンド・シートを持っていって下に敷いているのだけど、、それでもダブルウォールのテントとしては破格の軽さ。

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ニューモデルのVL-33は、VL-32からさらに150gもの軽量化を達成している。テントの寸法は同じなので、VL-33のポールが使い回せるのかと思いきや、部分的に径を変えるような処理を施しているらしく、流用は推奨できないとのこと。あの手この手で軽量化をしているのはスゴイとしか言いようがない。

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比較的雨の少ない欧米圏では、シングルウォールのものや変則的な形状をしたテントがメインストリームになっているようだけど、雨の多い日本の山では日本のメーカーのスタンダートなテントが一番。このあたりはレインウェアーに関しても言えること。夏に行ったバルセロナでスポーツ用品店を覗いた限りだと、ワンタッチで設営できるシンプルなテントの人気が高いようで、様々なモデルが売られていた。

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今年は夏休みに山に行かなかったので、その代わりとして9月の連休をフルに使って「穂高の池巡り」に挑戦してみる予定。あえてピークを目指さず、バリエーションルートを多用して「静かな」北アルプスを楽しむ計画。もちろん復活したVL-32のお世話になる予定だ。

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山の保険

昨年末から会社の山岳部の事務局という役目を仰せつかっている。

部員数十名のこじんまりとした部なので、運営に伴って発生する事務自体はたいした作業量ではないのだけど、興味のないことに関して驚くべきほどのザルさを露呈してしまう性格(苦しい言い訳)なので、報告書をまとめるペーパーワークやら決まり切ったルーチンワークは大の苦手。誰か適任者が見つかったらマッハで交代しようと目論んでいる今日この頃。

・・・んで、部が所属している都岳連(東京都山岳連盟=ハセツネカップを開催してるとこ)の保険制度が2009年度から変更になったので、それに関わるあれこれをメモ。

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2008年度まで都岳連がとりまとめていた「山岳共済」は非認可共済(だからといって何か怪しいものってわけではない)だったらしく、2008/4から施行された改正保険業法によって2009年度からは扱うことができなくなってしまった、というのが今回の話の経緯。この「山岳共済」の代わりにできたのが日本山岳救助機構(jRO(ジローと読むらしい))で、jROに入会することで、みんなの遭難費用を持ち合いましょうという仕組み。

入会金2,000円は昨年度の「山岳共済」への加入実績があれば無料で、入会時にかかる費用は会費の2,000円のみ。面白いのが掛け金で、これは年度の終わりに実際にかかった遭難時の捜索・救助費用を会員数で割って払う事後分担方式。jROの加入者が遭難・事故に遭った場合、最大250万円まで捜索・救助費用が支払われる。

昨年度までの「山岳共済」の実績だと、掛け金は750円から1,500円程度とのことなので、トータル3,500円くらいに収まりそうな雰囲気。このお買い得感(?)もあってか、自分の所属する山岳部では約90%の部員が加入してくれたので、団体割引が効いて会費も少しだけ安くなった。

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あと、山岳保険で忘れちゃいけないのが障害保険。これは事故で死亡したり、怪我して後遺症が残ったり、他人に怪我させてしまったり・・・といったことに対する保険で、こちらは2008年度から大きな変更はなし。jROでカバーされるのは「遭難時の捜索・救出にかかった費用」(典型的にはヘリコプターの出動費用)だけなので、よりシリアスな状況に陥る可能性が高い登攀をやる人は入っておいたほうが安心。

都岳連で扱っていた障害保険「フルガード」は、2006年から東京海上が引受会社になっていて、山以外の事故に関しても就業中以外の「急激」「偶然」「外来」の事故であれば適用されるらしい(逆に、これら3つに当てはまらない凍死やテント内での窒息事故に関してはカバーされない)。

jROに入会している前提で考えると、死亡・後遺障害に720,000円&賠償責任に1億円出るZプランか、同じく1,000,000円&1億円出るAプランあたりが妥当な選択(保険料はそれぞれ2,050円、2,550円)と言えそう。怪我をした時の通院・入院費をカバーするハイカーorアルパインプランすると一気に保険料が5,000円超えになってしまう。

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この手の保険は使わないに越したことはないのだけど、山は何が起きるか分からない場所なので、お守りという意味でも入っておくに越したことはないと思う。山岳部に所属する理由は数あれど、この手の保険に割安で加入できるということは大きなメリットのうちのひとつ。実際問題として、都岳連には事実上個人加入することはできないし、巷の保険で同等のコースを選んでも割高に高くなってしまう。

不景気の煽りで会社からの補助金も30%減額になったりと色々厳しい現実があったりするのだけど、細々でもよいから山が好きな人が集まって活動していければよいのかなぁ、と考えている。

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ちなみに、昨年度の資料を見る限りだと、国内の山での遭難者(1808人)のうちの80%(1439人)が40歳以上の中高年で、さらに死亡者・行方不明者に限って言えば90%以上が中高年なのだと言うから驚いてしまう。実際に山に行っても思うことだけど、今や日本の山は名実共に中高年のものになりつつありますな。

http://www.npa.go.jp/safetylife/chiiki28/h19_sangakusounan.pdf

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TSUTAYA DISCAS を使ってみた

以前、友達に教えてもらって以来興味を持っていたTSUTAYA Discasを使い始めてみた。

Discas は、ネットから予約するタイプの DVD レンタルシステム。決まった月額を払うことで、予約しておいたDVDが送られてきて、返すと次に予約していたものが・・・という仕組み。

もともと、見たい映画は見に行くし、好きな映画は買うし・・・と思ってレンタルDVDは利用していなかったのだけれど、ここ最近になって見たい映画リストが肥大化し始めていて、それらをいちいち買ったり、見るチャンスを探るのもアレだなぁ、と思って使ってみることにした。

Discasの品揃えは「それなり」という感じで、ちょっとマニアックな作品になると置いてない印象。まぁ、その手の作品は、リリースされていても遅かれ早かれ絶版になるようなものが多いから、ホントに見たいと思ったら自分で買うわけで・・・。

DVDのレンタルサービスの使い方に関しては、ここの記事がなかなか興味深い。さすがに記事を書いた人のような高速回転を続けるモチベーションもガッツも持ち合わせていないのだけれど、ちょこちょこと映画をサーチしていったら、予約リストはあっという間に50オーバー。見逃していた映画には日本の作品が多かったので、自分にとってはなかなか都合のよいサービスだなぁ、と感じている次第。

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紹介したついでなので、早速借りてみた2作品を紹介してみよう。

文句なしによくできた映画。
西川美和監督の作品は初めて見たのだけれど、ただならぬセンスを感じた。

サスペンスタッチで「兄弟の絆」みたいなものを描いた作品なのだけれど、徹底的に対照的な兄弟をオダギリジョーと香川照之さんが上手に演じている。オダギリジョーの圧倒的な存在感に負けず、香川照之さんもよい演技を見せてくれるし、全体的にピリリと辛い物語にまとまっているのは、監督の力量なのだろう。
最後のシーンでは、思わず涙が出た。

香川照之さんは、歌舞伎役者・市川猿之助さんの息子だそう。ということは、若手俳優の中でも特にナイスな演技でいつも楽しませてくれる亀治郎さんの従兄弟になるのか・・・。う~む・・・この世代は期待できる人が多いなぁ。

「お伊勢参りに行こうぜベイベ~!」
清々しいまでに馬鹿馬鹿しくて、いい感じにぶっ飛んだ、120%ギャグ映画(誉めてます)。
これは・・・見る人によって見事なまでに評価が分かれる作品だと思う。
お馬鹿&お下劣な映画に対する耐性を持っている上に、どこまでくだらなくてもゲラゲラと笑い続けられる人でないと楽しめなさそう。

主演の二人もノリノリで楽しいし、阿部サダヲさんの胡散臭いキャラも最高によかった。映画全体のイメージとしては、「モンティー・パイソンの人生狂騒曲」あたりに共通するものを持っているように思う。イージーライダーへのオマージュ等々、ただのギャグ映画では終わらない骨太さを感じた。

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3535 Macro

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E-410, ZD 35mm F3.5 Macro
ISO AUTO
JPEG SHQ

しばらく前にZD 35mm F3.5マクロレンズを入手して、普段出歩くときに使う散歩用レンズとして、E-410につけっぱなしにして持ち歩いている。

3535Macroの愛称で親しまれているこのレンズは、フォーサーズ規格で出ているレンズの中でも最軽量で、E-410につけると、撮影時重量が600グラムという驚異的な数値になる。
・・・それは、ほんとに一眼なのかよ、という感じだ。

このレンズのウリはなんと言っても寄れること、それに安いこと、そして値段の割にしっかり写ること、そして軽いことだろう。マニュアルフォーカス時にフォーカシングリングがやたらと重かったり、AFが若干遅めであること、それに普段使いにするには焦点距離が35mm換算70mmと少し望遠気味であることを除けば、E-410で使う散歩用レンズとしてこれ以上のものは望めないように思う。

このレンズを買う前に、散々50mmF2.0Macroにするかこっちにするか悩んだのだけれど、レンズの扱いに慣れてきた今となっては、とりあえずこっちを買って正解だったなぁ、と思う。本格的なマクロ撮影には三脚が必須になってくるし、今の自分の撮影スタイルに三脚は不釣り合いだから、しばらくはこのレンズを使いこなすことでマクロレンズの使い方を勉強できる。

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E-410, ZD 35mm F3.5 Macro
ISO AUTO
JPEG SHQ

レンズ入手直後は、フォーカシングの動作によってヘリコイドがせり出して、ワーキングディスタンスが変わってしまうことに驚いたり、中望遠の単焦点で構図を決めるのに一苦労したり・・・とまぁ、「マクロレンズ」そのものに慣れるための時間が必要だった。しばらく使ってみた後で、風景写真なんかを適当にパシャリとやってもそこそこ写ることに気付いてからは、とにかく沢山撮ることが大事だと踏んで、出かけるときは常に持ち歩くようにして数をこなしているうちに、少しずつ自分で思っているような描写が得られるようになってきた(ような気がする)。

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朝の銀杏並木

E-410 を買って以来、カメラを持って出かけることが多くなった。
オリンパスのデジタル一眼レフのハイエンドモデルであるところのE-3が発表されたようだけれど、山で使うのには重すぎるし、E-410でさえも持て余してる自分には、はっきりいって無用の長物。
安心して「ふ~ん、いいねぇ」と受け流すことができる。

今日は久しぶりに自転車で会社へ行ったので、メッセンジャーバッグにED 40-150mm F4.0-5.6を装着したE-410を忍ばせて家を出た。

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E-410, ED 40-15mm F4.0-5.6, ISO 200, 1/250, f/5.6

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E-410, ED 40-15mm F4.0-5.6, ISO 100, 1/200, f/6.3

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E-410, ED 40-15mm F4.0-5.6, ISO 100, 1/320, f/5.6

今日は空気が冷たくて風が強く、すぐ近くまで迫っている冬を予感させる日だった。
銀杏並木の紅葉まではしばらく時間があるが、銀杏の木々が少しずつ冬支度をはじめているような、そんな気がした。

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E-410 を山で使ってみる

買ったばかりのE-410を山でガシガシ使ってみた。
まだまだ使いこなせている気がしないが、最低限の使い勝手とE-410が吐く画像の傾向が分かってきたので、自分なりにまとめてみよう。

まず、これまでのコンパクトカメラ(FinePix F700)の場合にどうしていたかといえば、こいつは軽いし小さいので、肩からタスキ掛けにしてボロっちい袋に入れたままで山を歩いていて全く問題なかった。
これだと、歩きながら面白いものを見つけて、立ち止まってすぐにパシャリとやってまたすぐに歩き出すことができるので、非常にナイスで気に入っていた。

恐らく、コンパクトカメラを山で使うので最もポピュラーなのはこんな感じのものをザックのショルダーベルトに引っ掛けておくことだろう。

で、一眼レフの場合、何といっても重いしかさ張るので、コンパクトカメラ的機動力は発揮できないのでは・・・、と心配していたのだけれど、そんな心配は杞憂に済んだ。ショルダーストラップを長めにし、これまでと同じようにタスキ掛けにした状態で持ち運んで特に問題ない。

とはいえ、むき出しのままで持ち運ぶのはさすがに心配なので、モンベルのレンズポーチ XLのストラップをカメラのショルダーストラップに引っ掛け、カメラを取り出した状態でも落ちないようにして持ち運ぶようにしている。こんな感じ。
この他、HAKUBA製のレンズプロテクターを装備した14-42mm F3.5-5.6をデフォルトで装着し、Transcend の2GB CFを常用している。

***

実際に山で使ってみた感触を箇条書きにしてみよう。

- 撮影している感触が気持ちいい
光の具合を考えながらファインダーを覗き、カシュン、カシュンとシャッターを切っていく感覚が大変気に入った。これまで使っていたF700にもそれなりのマニュアル撮影機能があったのだけれど、一眼レフはさすがに次元が違う。

- 描写能力は高い
1000万画素っつったって、そんな解像感がほんとに出るのかしら・・・と思っていたものの、予想以上の絵が出てくる。光が少ないようなところでもそれなりの絵になるが、解像度が高いのでほんの少しの手ブレが命取りになる。標準レンズとの組み合わせだと被写体深度が深めなので、気に入った風景をパシャリとやるのに便利。

- ダイナミックレンジが狭い
F700は富士フィルムが独自に開発したハニカムSRと呼ばれるCCDを搭載していたため、デジタルカメラの弱点とされていたダイナミックレンジの狭さがある程度克服されていた。E-410は、松下製のLive MOSを搭載していて、これが評判通りダイナミックレンジ狭め。明るいところと暗いところを両方撮ろう、という試みは大抵失敗してしまうようだ。露出の補正に気を使うことが多いのはマイナスポイント。

- マクロ撮影には弱い
異様なまでに接写に強いコンパクトデジタルカメラに比べると、デジタル一眼はマクロレンズを装着しない限り接写はほとんど無理。具体的には、F700はマクロモードで9cmまで寄れるが、E-410の標準レンズ(14-42mm F3.5-5.6)は25cmまでしか寄れない。小さな高山植物を撮るためにマクロレンズが常備したくなるが、風景撮影でどれだけ使えるのかは未知数。

- 小型軽量は山において圧倒的な高性能といえる
所有している山登り関係の装備をClimbing Gear DBとしてまとめているのだけれど、これを眺めていて気付くのは、装備をまとめていった際の一眼レフカメラの相対的な重さ。登りでも下りでも、登山中の荷物は1グラムでも軽い方が有利なので、カメラがほんの少しでも軽いということは、実際に山に持っていく敷居を大きく下げてくれることになる。持っていけなければいかに凄いカメラを持っていても意味がないので、「軽くて小さい」ということは圧倒的な高性能であると言えそう。

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早朝、笠ヶ岳のテントサイトから見えた雲に包まれる槍ヶ岳
ED 40-150mm F4.0-5.6
ISO 100
JPEG SHQ

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赤牛岳へと続く稜線
ED 14-42mm F3.5-5.6
ISO 100
JPEG SHQ

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長次郎谷から熊の岩と八つ峰の頭を見上げる
ED 14-42mm F3.5-5.6
ISO 100
JPEG SHQ

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剱沢小屋周辺からの剱岳
ED 14-42mm F3.5-5.6
ISO 100
JPEG SHQ

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E-410 購入記

生まれて初めてのデジタル一眼レフを購入。
一眼レフなんて重いし、ダサいし(偏見)、レンズ高そうだし・・・とずっと敬遠していたのだけれど、色々と偶然が重なり、ウダウダと悩んだ挙げ句に手を出すことになった。
経過は、

- 3年くらい使っていた富士フィルムのF700をなくした(6/23)
- 実はその前からF700の次期カメラとしてシグマが開発中のDP1に興味津々だった
- とりあえず、中古の F700 をゲットして元の環境は手に入った
- ・・・だが、やはりもっと「カメラ」として面白い道具が欲しいゾ

というノリ。

一眼レフを敬遠していた一番の理由は「写真を撮ることが目的になってしまう危うさ」みたいなもので、大げさに三脚やら何やらを担いで「じぃ~~」っとどこかでシャッターチャンスを待つ、みたいな真似が自分の性に合わないと感じていたことが大きい。カメラは自分にとってあくまで道具であって、細かいことを気にせずにパシャパシャとシャッターを押せて、その時自分が見ていたものをできるだけ鮮明に捉えてくれればいいや、という気持ちだったのだ。

・・・で、一眼レフの世界を色々と調べていくうちにE-410のスタートと、オリのDNAについてという記事を見つけてオリンパスの製品開発姿勢みたいなものにすごい共感を覚え、「どうせ道具としてのカメラを極めていくにはどうせいつか手をだすものだし」と無理矢理自分を納得させて、本格的に購入の検討を開始。

当初は、道具としてガシガシ使うためには少しでも安いもののほうがいいなぁと思い、2年くらい前のモデル(E-500)のバリューキット(キットレンズ込みで\50,000前後)を考えていたものの、山やサイクリングで使うためには1gでも軽いほうがよさそう&店頭で触った印象がとても好ましかったE-410に決定。ダブルレンズキットがポイント分を差し引いて\90,000前後になっていたAmazonで購入することに相成った。

ちょこちょこと持ち出して撮影のノリを掴み、最低限必要なアクセサリーをゲットした上で先週末の針ノ木岳山行で利用してみたのだけれど、想像していたとおり一眼レフでの撮影はとても面白い。コンパクトカメラにはないダイレクトな撮影感覚が実に新鮮で、たくさんの高山植物やピカピカの展望に恵まれたおかげで、256MBのXDカード(Finepix F700で利用していたものを流用)を使い切ってしまった。

心配していた「一眼レフの山での使い勝手」という問題は、ちょっとしたコツでなんとかなりそう。詳細な感想についてはまた別のエントリーで書くとして、「面白いおもちゃをゲットしてしまったなぁ」というのが率直な今の気持ち。
また、業の深そうな趣味に手を出してしまった・・・。

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