Edge 705を使い始めてしばらく経ったので、思ったことをまとめてみる。

自分が購入したのは心拍計+スピード&ケイデンスセンサー付きのSKUで、定番のJ&Hで注文。購入に到る経緯と到着までのノリは以前のエントリーを参照。今はポンド安なので、イギリス(こことかここ)から買った方がお得かも。
で、結論から言ってしまうと、これは・・・イイ!・・・です。
製品の特徴を列挙すると、
- GPS付きのサイクルコンピュータ
- GPSの精度は現在市場で入手できる中で最高基準
- 心拍計、ケイデンス・スピードセンサー、高度計(気圧計)、斜度計(GPS利用)に対応
- 標準規格であるAnt+に対応したパワーセンサーに対応可能
- 2.2インチのカラー液晶による地図、走行情報、ナビ、高度グラフの表示(レイアウトはカスタマイズ可能)
- Micro SDカードによる地図・コース・ログデータの外部ストレージ保存
- 内蔵充電池(Li-Ion)による動作(12時間くらいまではOK)
- PCとの連係によるトレーニング情報の管理
とまぁ、そんな感じ。
2008年11月現在、一般消費者がサイクルコンピュータに期待することができる、ありとあらゆる機能が詰め込まれたデバイスと言ってしまっても過言ではないと思う。
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製品のウリとして、カラーの地図表示によるナビゲーション機能とか、Ant+のサポートによるパワーメータ対応が挙げられるのだろうけど、それ以上に「全部いり」サイクルコンピュータとして普通に使えるところが気に入っている。POLARのCS400と大差ない価格で同等以上の機能がついてくると考えればOK。
センサー類がなくてもGPSによるスピード計が使えるのもGPSサイコンならではのメリット。パッケージに2つ入っているマウント(一つはステム用、一つはハンドル用)をサブバイクに装着することで、複数台で共用することができる。ただし、登録できるバイクプロフィールは3つまで。
自分は、メインバイクであるMaster X-Lightにスピード・ケイデンスセンサーを取り付けて常用し、さらに通勤バイクであるTIME号(VX Elite)にマウントを装着してトレーニングやロングライド時に活用している。メインバイク以外でケイデンスが取れないのがちょっと痛いけど、追加でセンサーを買うと1万円近くしてしまうのでいかんともしがたい(と思ったら、今のレートだとここで4000円ちょいで買えちゃう)。
普通のサイコンから乗り換える際に気になるであろう充電式電池は、ある程度利用パターンを固めることで充電し忘れを防ぐことができる。パソコンのUSBポートに繋げると自動的にバスパワーで充電されるので、ログを採取した際にそのままつけっぱなしにしておくことで、次の分の充電は完了している感じ。先っちょにUSB端子のついたACアダプターが付属しているのだけど、これを使ったのは最初期の充電したときのみ。
純正のトレーニング管理ソフト、Garmin Training Centerがいまひとつかゆいところに手が届かない仕様なので、マニアックにログを眺めたい人はSportTracksを使ってみるとよいかもしれない。SportTracksを使って間接的なパワー計測をやる方法は、こちらを参照。
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地図表示&ルート表示は、土地勘のないエリアに行くときに便利。
普段の練習では勝手知ったる道しか走らないから、絶対的に必要な機能かと言われるとそうでもないかも。むしろ、走った後に位置情報とばっちりシンクロした走行情報が取れることのほうが圧倒的にステキ。あとは、峠を走っていてあとどれくらいでゴールできるかが分かるとか、そういった使い方ができる。
日本の地図は、UUD製作所のものを利用するのが一般的。
今だったら500円もしない2GBのMicro SDに日本全国を収めることができる。
Edge 705に対応可能なパワーメータは、新鋭のQUARQ社のCinQoと、SRMのワイヤレスモデル。
いずれも10万円オーバーの機械なので、当分自分には縁がなさそう。
ホイール内蔵型のPowerTap SL 2.4もAnt+を採用しているので、Edge 705と喋れるのか・・・と思いきや、素の状態だと駄目らしい。$99.99のアップデータを利用することでEdge 705とお喋りできるようになるとのことなので、PowerTap SLを組み込んだホイールの登場に期待ですかね。
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外見という意味でも、Edge 705は自分の好みにあってる。GARMINのアウトドア用製品(60CSシリーズ)の無骨さと比べると、「どうしちゃったのGARMIN?」と思えるほどにシンプルで洗練されていて、自転車に装着してもそこまで目立たずに済む。個人的にゴテゴテしたハンドル周りは許せないので、これは地味に大きなポイント。
一体型のスピード・ケイデンスセンサーは、インストールも簡単だし見た目もスマート。追加購入すると高くつくけど(1万円)、バッテリーも交換できるしAnt+対応なので、今後のEdgeシリーズで使い回しできると考えれば安いのかも。
スピード、ケイデンスの反応速度は良好。有線式には負けるけど、遅い遅いと評判のPOLAR CS100に比べれば断然速い。GPS利用のスピードセンサーも十分に実用的で、たま~に数値が暴れるけどほとんど問題なし。
斜度計はGPS利用のものなので、「今登ってるここの斜度」じゃなくて「ここまで数メートル~数十メートル登ってきた斜度」が表示される印象。瞬間最大風速的な斜度を知るには適していないけど、「ああ、この坂はXX%あるからこのスピードになるのも仕方がないのか」といった程度には使える。
パッケージに同梱の心拍センサーは、ちょっと寒さに弱いかも。11月初頭の東京で、早朝(6時過ぎ)の走り始めにありえない心拍数が出てしまったりする症状がちらほら。20-30分も走って温まってくれば直るし、POLARを使ってたときもたまに出ていた症状なので、そこまでストレスは感じない。
液晶の視認性は良好で、日中の利用ではバックライトオフで問題なし。
操作性もなかなかで、走行中に押す可能性が最も高いLAP/START&STOPボタンが押しやすい位置に配置されている。慣れてくれば、走行中でもその他のボタンを使ってゴチャゴチャいじれるレベル(危ないので自信のない人はやらないように)。


最も多用するであろう走行情報の表示モードは、最大8個までのパラメータを同時に表示するようにレイアウト可能。自分は、速度、心拍数、斜度、ケイデンス、ラップ距離、ラップタイムを表示している。地図の表示モードでも最大4つまでパラメータを表示できる(その分地図の表示面積は小さくなる)ので、心拍数とケイデンスを表示できるようにしてある。
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いいことばっか書いてるのもあれなので、製品としての問題点をいくつか。
1. 登録したルートのトレース中に突然電源が落ちて、その時の走行ログが吹っ飛んだことがある(1回)
2. その後、うまく起動しない症状が出た
3. 斜度が表示されなくなってしまうことがある
起動しない症状が出たのは、突然電源が落ちた事件の直後。それから今まで1,2ヶ月は何の問題も出ていないので、調子の悪い時期が重なってしまったのかもしれない。起動しない症状が出たときは、根気強く再起動を繰り返していたところ、何事もなかったように復活した(起動シーケンス中、ちょうどよいタイミングでパワーオフして再起動するのがコツらしい)。
斜度が表示されない問題はいまだに未解決。GPSのトラックに失敗した後とか、START/STOPした後やなんかに発生するようなのだけど、症状が出ているときでも高度は取れていたりするので謎は深まるばかり。
海外のフォーラムを読む限りだと、Edge 705で何かヤバいことが起きた場合はソフトリセット->それでもだめならハードリセットのコンボが有効とのこと。リリース直後のソフトウェア成熟度の低さはGarminのアウトドア製品に共通なので、そういうものと諦めたほうが精神衛生的によさそう。実際、最近になって公開されたバージョン2.50のソフトウェアで相当数のバグ("issue")が修正されているので、上記の問題も解決している可能性が高く、細かい使い勝手の面でも向上していることが期待できそう。
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この手のデバイスが高度化していった場合、Garminのような類似デバイスでの経験値を持った会社に分があるのは間違いない。そうなってくると、パワーメータメーカーはより一層自分たちのCore competencyであるパワー測定部分にに力を注ぐことができるから、性能面・価格面でも市場からのポジティブフィードバックがかかって、パワーメータがより一層ユーザにとって身近な存在になっていくのかもしれない。